おやつと好きな漫画

今週のお題「好きなおやつ」

 

今一番好きなおやつを一つ選ぶとすれば「アルフォート」になります。

これは数年前から好きになったものの一つなんですが、そもそも小さいころはそこまで好きではなかった記憶があります。チョコレートの部分は好きだったが、あのビスケットの部分がどうしても好きになれなかったのです。

それが変わったきっかけの一つとして、花輪和一刑務所の中』があります。

刑務所の中

刑務所の中

 

 この漫画は、筆者である花輪和一が銃刀法違反のために逮捕されたのちの刑務所の中の様子を描いた体験記です。→参照 刑務所の中 - Wikipedia

その漫画のひとつのシーンに、受刑者が集って見る映画の行事のシーンがあります。そこで、各受刑者たちにアルフォートとコーラ?が配給され、受刑者が映画の最中に名残惜しそうに手元でアルフォートの数を数えながら食べる場面があります。その時には「そういえば、そんなお菓子あったなー」ぐらいに思っていてたんですが、その後に、20歳前後の頃、コンビニでアルフォートを手にして食べたとき、「あれ、こんなにおいしかったっけ」と感じ、それからお菓子を買うときは大体アルフォートを買っていました。

それにつけても(この漫画の重要ワード!)、この漫画は食のシーンが秀逸です。花輪和一の元々の画力もありますが、細部まで拘り抜いた表現は狂気さえ感じます。

最近、泉昌之『かっこいいスキヤキ』を読んだのですが、この作品も食に対する異常な拘りが描かれていて、それに通じるものがあります。後で知ったのですが、この作者はあの孤独のグルメの原作者の久住昌之と漫画家泉晴紀のユニットで、この食の表現に合点がいきました。

かっこいいスキヤキ 新装版

かっこいいスキヤキ 新装版

  • 作者:泉 昌之
  • 発売日: 2020/09/20
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

正直、読み終えた後には想像していた刑務所の中は描かれていませんでした。ごく普通に、刑務所の中は辛くて大変なものなんだろうなと、当時20歳ぐらいの自分は思っていたのですが、この漫画を読み進めていくとどうしてもそうは思えません。まるで日常系アニメを彷彿させるような日常を、筆者は持ち前の観察力で描いています。

恐らく、あくまで実際の体験は自分がこの漫画で得られる知識以上には過酷なのでしょうけど、筆者はそれをエンターテインメントとして上手く作品に落とし込んでいる。それで思い出すのが、吾妻ひでお失踪日記』です。

失踪日記【電子限定特典付き】

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 これなんか特に絵柄のせいもあって、ホームレス×日常系という内容なのですが、実際は過酷な体験だったと作者は語っていたのを何かの記事で読んだ気がします。

 

話はそれましたが、過去を通して今現在も漫画や映画等に影響を受けやすいタイプの人間なので、その作品の中でうまく描かれたもの等にすぐ食いつきたくなる性分です。なので、自分の好きなおやつのひとつは、刑務所の中を読んだ読書体験の結果として、アルフォートになります。