いやんなった

無茶苦茶落ちています。

 

何が。   気分が。

 

 

こんなこと吐露するのは正直野暮だと思っている派だったのですが、それでも、なにかこの状況を打破しなければならないなと思い、ここにこうしてつらつらと文章を残して発散していこうという次第でさる。

 

この一年近く、色々なことがありまして精神的な疲れが一気に来てしまった感があり、それは、近々のコロナ感染によってとどめを刺された感があるのです。

 

一昨年末より始まる、身内の不幸ラッシュ

社内異動とそれに伴う、地獄の研修

上司の入院に伴い、その仕事の引継ぎによる過労働

 

それが昨年末までに起きた出来事であった。

 

こうして、文章にまとめてみると案外大したこと無いようにも見えるが、

実際にはそれぞれにおいてかなり精神的な負荷がかかっていたように、今では思える。

 

これらをなんとかやり過ごして迎えた年末年始は、毎日のように飲み歩き、その結果かはどうかわからないが、コロナに感染する始末。そして、今自宅療養を迎えて6日目。

 

 

体調は回復したが、仕事のやる気なんぞ起きてくるはずもなく、メールや電話も見なかったことにしている。

 

恐らく、ひとたび仕事に復帰すれば、またいつもの生活が戻ってくるから、それはそれでなんとなくやり過ごしていくのだろうとも思う。

 

 

 

 

横尾忠則・喪黒福造・安倍吉俊

 
行ってきた。8月7日俺の誕生日。と我らが花やしきの誕生日。

www.hanayashiki.net

 
全然事前情報なしで、名前だけ聞いたことあるなぁぐらいの知識で、いざ国立現代美術館へ。
結果、圧倒された。とにかく展示されていたもの全てカッコいい作品だらけだった。色使いとか世界観とか、単なる絵画ではないギミックのあるエンタメ要素のあるもの、そして、精神世界にどっぷりつかりこんだような作品、ありとあらゆる横尾忠則ワールドを楽しめることができた。来たからにはさあみるぞという心持ちで最初から気合入れて観ていたから、序盤で疲れて後半は割と足早に眺めるように見ていった。こんなに圧倒されたもんだから、画集の一つでも買って帰ろうかなと思って物販寄ってみたが、画集をパラパラ観ているうちに、なんだか違うなと思い、展示場を後にした。
あの落差は一体なんだろう。展覧会の内容を美化したまま思い出として保存しておきたかったのだろうか。しかしながら、買わなかったのは少し後悔。でも、買ったところで、読むかって言ったら読まないだろうし、どこかで古本か何かで見つけたら手に取ってみようとは思う。現金な奴。
 
その翌日、前日の余韻がまだ残っていて、それをなんとかして解消したく思い、経済的手法を用いることにした。漫画の爆買いである。
向かう先は中野ブロードウェイ、そう、まんだらけが目当てである。
まんだらけは場所柄秋葉原店にはよく足を運び、漫画を買っていくが、承知の通りこの日は気分が少しのっていたんで、少しの遠出でもって中野店を選んだ。
素晴らしい漫画の宝庫に毎度の事興奮しながら、ボーナスで懐が暖かめの私はかごに漫画を次々と入れていく。ミニマリストのみなさんには申し訳ないが、私はこれが好きなんです。決してお金もちでないしがない一般庶民の贅沢な行為の一つ。この時だけが私は夢を見ることができるのです。
しかしながら、わざわざ遠出をしてきたということもあり、久しぶりに漫画を思いのほか購入することができた。
最近の傾向としては、ガロ系作者、藤子不二雄関連(もっぱらA先生のほう)が多い。
ガロ系作者とひとくくりにして大変申し訳ないが、なかでもお気に入りは、近藤ようこの漫画がグンバツで私の心に突き刺さる。単純に話の組み立て方が上手くて、アッという間にストーリーの引き込まれている。後、登場する若い女性がみんな美しい。どうしてこんなにも魅了されているのか不思議、いや、本当はわかっているのような気がするけど、整理しきれていないから、書くことができないだけなのかもしれない。
藤子不二雄A先生の描く漫画、特に笑うせえるすまんなんて、救われない人の話ばっか描かれている。ブラックコメディというジャンルを漫画で切り開いた一人は間違いなく彼だろう。後味悪いのがなんだか癖になる。あそこの中華料理屋たいして旨くねえんだけど、また来たくなる。なぜなら、それを求めに来ているから。後味悪くなりたいっていう気分も時には必要だって、じゃなきゃタバコなんて吸わねえ、酒も飲まねえんです。そういう人間の業を描くのが得意というか、漫画界において先駆者みたいなもんだから、古い作品でも多少古めかしい表現さえあっても気にならず、徐々に読者をAワールドに引き込んでいく。
 
 
そして、横尾忠則展つながりではないのだが、最近ツイッターパラパラ観てたら、なんと安倍吉俊展がやっているではないかという情報をキャッチした。
 
正直、NieA_7だけしか追えていないほどのド級のつくミーハーなんですが、絵にとても魅了されてしまって、本当は灰羽連盟lain等必修科目というのは承知しているのですが、なかなか重い腰が上がらずに10年ぐらい経って今に至っています。でも、NieA_7は好きで、おかげでSIONを知ることができたし、10代後半の多感な時期に出合った作品の一つなので、思い入れがあるのは確かなんです。
ということで、今から三日前ほどに、見に行こうってもんで、神田に行ったことはいいが、着く時間が早すぎて、喫茶店で休憩して時間をつぶしていた。資格の勉強でもするかと、初めて見れば、あっという間に時間が過ぎ、そろそろ行くかと喫茶店を後にして、展示会会場に向かってみれば、「整理券配布終了」の張り紙がされていて、まるでニア(NieA_7の主人公)のようにズコーっと滑り崩れた。
悔しいったらありゃしなかったんで、とぼとぼと神田をふらつき歩いて帰ったのですが、飲み屋がまあ多いこと。結構な歓楽街なんだということを認識して、コロナ禍が落ち着いたら飲みにでも行きたいけど、こんなところで喪黒福造みたいな人に出会ったりしたくはないな、なんて思いながら神田を後にした。

 

弁当について可能な限り考えられ得る幾つかの事

今週のお題「お弁当」

 

30歳ブルーカラー男子である自分は仕事の日は毎日欠かさず弁当を持っていく。

一方で、同僚達は基本的に現場近くで外食やコンビニでことを済ませることが多い。

 

弁当を持ってくるメリットとして、コスパが良いに尽きる。

  • 費用は掛からない。
  • 今日何食べようかという心配もいらない。
  • 多少なりの独りの休息時間が得られる。
  • 栄養面で偏らない

 

デメリットとしてあげられるのは、

  • 毎日の弁当メニューを考えなければならない。
  • 温かい飯ではない。
  • 腐食問題
  • 同僚との昼食を介したコミュニケーションが減る。

 

ただ、自分としてはあまりデメリットとして挙げた3点を基本気にしない。

弁当は正直毎日同じメニューでも構わない。というよりも、自分の弁当は常々昨夜の夕食の残りを詰めるパターンが多い。自分の作る弁当は自分で消費するため、その品質には全く拘りがない。要は食えればいいわけである。だから、それが冷たいだろうがなんら関係ない。

しかしながら、夏場の腐食問題だけは気にかけている。夏場は保冷剤が欠かせない。夏場の車内に弁当をそのまま置くことは非常に危険であるから、必ず保冷バッグに弁当を入れる。もちろん弁当は冷たくなる。温かい状態に比べれば美味しくはなくなる。だがそれよりも、昼食に金を掛けるぐらいであれば、夕食に少し金を出して良いところに行きたいと思う。

コミュニケーション問題に関しては、最初は正直面倒だと思う。確かに、少しの時間でも同僚とコミュニケーションをとることで、午後の作業がスムーズにいくという可能性も否定できなくは無いからだ。だからこれに関しては、昼食以外の時間を使ってできる限りのコミュニケーションをとることが大事なのかもしれない。 

 

だからといって、持ってこない派の人たちを否定するつもりはもちろんない。ただ力を注ぐところが少し違うだけで。自分も作れない時は、外食やコンビニ弁当の時もある。実際節約といっても、コンビニでの買い食いやタバコ等の嗜好品にお金を使ってるから結局大きな節約にはつながっていない。

 

後、これはメリット、デメリットを度外視した個人的な感覚だけど、弁当ってなんかカッコよくないですか?一応、わっぱみたいなフォルムの弁当箱を手ぬぐいみたいなものに包んで持っていってるのだけど、それ自体がなんか好き。これはもう完全に価値観の問題。弁当って日常であるけれども、一般的なお皿の上に載っている温かい(もしくは冷たい)ご飯のスタイルと比べたら非日常的なモノであるから、その特別感がもしかしたら好きなのかもしれない。海外のドラマとかで、キッズたちがかわいいランチボックスを持って学校に行くのを見かけたことあるかもしれないが、あれに憧れみたいなのを感じていたり。。。そうこう考えていくと、弁当というのはその人の一つのライフスタイルの自己表現にもなり得たりするのかもしれない。そういう下らないが非常に興味深いことを考えていたら、お腹が空いてきたので夕ご飯(翌日の弁当)を作ります。

 

 

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オシャレすぎて自分で作って持ってってもワクワクしそう

 

アンチ・ミニマリズム

コロナ禍という大変面白くもない状況でも生活は送り続けなければならない。できればまだ死にたくないから。まだ自分には聴かねばならぬ音楽が無数にある。ディグり続けて、いい音楽に出合うことの喜びは格別だ。それだけで1週間の労働生活を耐え凌ぐことができる。そういう心持で今を生きていかねば、なんとも詰まらない世の中になってしまう。

ということで、ここ数カ月でハマった曲を思い出せる限り備忘録として載せていこうかな。

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上にあげた音源は全部ジャケ買いしたモノです。(沢田研二は名前は知っていたけど聴いたことが無かった)

基本的にジャケ買いか人にお勧めされたものしか買わないのでジャンルはかなりバラバラで買っている。後、レコード屋のプライスカードの説明書きとかも判断基準の一つとして重宝してます。アレ集めたい。

そうは言いつつもジャズやクラシックはあまり買わない。あとクラブミュージック系も。そのせいもあって、いっこうにある一つのジャンルに詳しくなれる気はしない。結局、自分の琴線に触れたものだけを手に入れられることが可能な金銭の範囲内で楽しむという趣味だから。

後、そのバンドやアーティストについてもあまり深堀しない。本当は、そういうのを深堀していき関連バンドやアーティストを数珠つながりで発掘していくのがディガーの本来の姿なのであろうが、今のところ意識的にはやってない。あ、でもレーベル掘りみたいなのはしてるから、結局一緒か。

でも結局一番快楽が得られるのは、自分が全く知らなかったモノを興味を持って買ってみたらそれがドストライクな音源だったっていうのですよね。でも、それをLPでやると全部聴く必要があるから時間がかかって仕方ない。

だからなのか、最近はハードオフやリサイクルショップを巡り主に日本の歌謡曲のシングル盤を掘ったりしていた。片面大体1曲しか入ってないので多種のアーティスト、バンドの音源を聴くことが可能になった。

そのような感じで、飽くなき欲求はいまだに満たされず、物欲に塗れながらコロナ禍をやり過ごそうという魂胆です。

 

 

 

現在午後11時24分。

通常通り既に眠たい気持ちを押し殺して、何とか起きてだらだらとしている。そうしているうちに、何か生産的なことをしようと思い立ち、そういえばはてなにブログ書けという催促のメールが届いていた事もあり、久しぶりに(といっても1カ月とか)ブログでも書こうかと思い、今に至る。

これからこの記事で綴る内容は、ある人にとってはどうでもいいことかもしれないけれど、自分にとっては眠気を押さえてまで綴るものであるから、自分には何かしらの記憶にはのこるかもしれない。

眠気との壮絶な戦い。恐らくそれは近代より、人類があくせく働くようになってからの事であろう。電気の発明とそれに伴う技術の発展により、人は日夜問わず働くように仕向けられていった。またインターネットの発明により、時間や場所を問わずに働けるようになったために、人は過剰なストレスを抱えながら生きてゆかざるを得なくなっていった。

そのストレスの一つに睡眠不足がある。各々の事情によって睡眠不足の理由は当然異なる。ある人は仕事の忙しさから、ある人は仕事の後遅くまで、あるいは朝まで遊んでいたから、趣味に没頭して寝るタイミングを失ったから、資格取得のために徹夜して勉強しているから、といった具合に。あるいは、単に睡眠障害という病を抱えている人も中にはいる。

果たして、自分は睡眠不足であるかどうかという判断をつけるにはどうすればいいのだろうか。自分は普段平日は5~6時間ほどの睡眠を取っている。一般的に良いとされる睡眠時間は7~8時間と聞く。5~6時間の睡眠で足りているのかといわれれば、恐らく足りてはいない。朝はいつもアラームを何個も設定しなければ起きれないし、例えそうしても、出勤ギリギリまで寝てしまうこともあったりするし、会社に着いて車で移動するときに眠気が襲ってくる場合もある。だから、昼休みの時間には必ず昼寝の時間を意図的に設けている。10~15分ほどの昼寝を挟むことで午後の仕事もなんとかやりきることができる。仕事が終わり、帰ってきて食事を済ませた後に、また睡魔がやってくる。おそらく満腹感からくる睡魔だと思われる。満腹よりも8分目ほどの食事が眠気対策にはいいらしいとどこかのネット記事で読んだことがある。その眠気をなんとかこらえて食事の片づけを済まし、洗濯機を回しているついでに風呂にはいる。最近は冬でめっぽう冷え込むことが多いので、湯船にもつかるようになった。Spotifyポッドキャストを聴きながら湯船につかっているとまた眠気がじわりじわりと襲ってくる。このままでは湯船で寝てしまい溺死する可能性も無くはない。だから早々に風呂からあがるようにする。風呂から上がった後にベランダに出て冬の外気を浴びることは最近覚えた贅沢の一つである。交互欲やサウナ→水風呂でもたらされる幸福感に似たものを得ることができ、またなによりも、眠気がここで一気にふきとんでいくのだ。そして、風呂上がりに一本の煙草を吸い、体を完全にリラックスさせて、好きなことに取り組み始める。しかしながら一時間もしないうちに、奴らは再びやってくる。その時はもう潮時だと思い、即時撤退もとい就寝する。

そうしたルーティンをどうにかこうにかして打破したいと思うが、結果毎日同じような習慣を送り続け、それをいつかいつかと夢や希望を打ち砕かれ続けるのが「大人」です。

今週のお題「大人になったなと感じるとき」

AUS漂流①  WWOOF 体験

 

2017年5月~6月

 

WWOOF制度を利用してノーザンテリトリー州(以下NT州)に位置するLitchfieldという場所で1か月程生活を送る。

 

WWOOF登録~ピックアップまでの流れ

簡単にWWOOFについて説明する。WWOOFはいわゆる農業ボランティア制度であり、年会費を払えばだれでも参加できるものである。インターネットよりwwoofに登録すれば、wwooferとして働く機会を得ることができる。しかしながら、これはあくまでもボランティアなので賃金は発生しない。その代わりに、滞在するホストより住居、食事が提供される。wwoofの団体は世界各地にあり、日本にもその団体がある。後、基本的に有機農業や無農薬栽培をしているファームがメインで参加しているはず。

ja.wikipedia.org

www.wwoofjapan.com

 

オーストラリアに降り立ってから1週間ほど無為な時間を過ごすしていたことに嫌気が差していた。そこで、どうせなら面白い体験をしてみようと思い立ち、WWOOF制度を利用して現地の農業を営む家族のところにホームステイ(ワークステイ)したわけである。

また、WWOOFを選択した理由としては、ホームステイのようなものにたいする憧れもあったが、現地の生活のリアルな様子も見ることができるし、その環境で生活すれば自然と英語も伸びていくことだろうという期待もあった。そして、当時は農業に大変興味があった時期だったので、何か今後農業をやるにあたっての参考になればという思いもあった。

ネットでWWOOF Australiaに登録し、NT州でWWOOFERを募集しているホストを幾つか絞った結果、NT州Litchfieldで農業を営むトンプソンファームというホストに決めた。

ホストマザーであるテレサと幾つかのメールのやり取りをして、後日ダーウィンに来るタイミングでピックアップしてもらうことになり、その日までが大変楽しみになっていた。

指定日を迎え、指定時間に、指定場所へ向かうが、彼女は表れてこない。ここはオーストラリアである。南国恒例のアレか、と思いつつ、若干本当に来るのだろうかという不安を抱えながら待つこと30分程、彼女は赤いセダンの車で現れた。軽く自己紹介をして、さっそく車に乗り込んで、彼女が住む家へと向かう。途中、スーパーに寄り食料を大量に買い込んでいた。それはこれから向かう地がドがつくほどの田舎なので最寄りのスーパーがソコであり、週に1度か2週に1度食料を必要な食料を大量に買い込むのだという。道中は、NT州らしい乾燥地帯の光景を見ることができて、いたく感動した。延々と続く道路沿いのブッシュや高々と建設されたアリ塚等、オーストラリアらしい景色。

 

生活環境

ダーウィンを出てから三時間ほど経つと、ダーウィンですらNT州というオーストラリアの僻地みたいな場所(一応NT州の州都で都会っぽい雰囲気はあるが)であるにもかかわらず、到着した場所はコレぞオーストラリアの田舎!という場所であった。

ようやく到着して車を降りると、雑種の犬二匹が血気盛んに吠え散らかし迎え入れてくれた。当時犬が苦手だったので、先が思いやられるなという不安は、案内された家を見てより増した。その家には、玄関がないのだ。玄関がないというより、屋根はあるが、正面の壁がないのである。コの字型をした家屋といえばわかりやすいだろうか。というのも、彼らは自分たちでその家を建築しているらしく、その形であるのは建築途中だからということである。トイレやシャワーも屋外にあるが、WIFIは通っていた。当時その家屋を写真に収めたなかったのを今になって非常に後悔している。

ここで一か月程お世話になった家族の構成は、ホストファーザーである巨漢のナイスガイのデイヴィッド、ホストマザーであり、いつも陽気な豊満な体を持つテレサ、3歳の年頃の娘エマ、1歳のみんなのアイドルのスティーヴィー。この4人家族プラス、自分がこの家に合流した時にはもう一人同じくwwooferのフランス人の女性が居た。後に、彼女が去った後にオーストラリア人カップル2組ほどのwwooferがこの家に向かい入れられた。

その衝撃的な家屋のダイニングでデイヴィッドが遅れて畑からやってきて自己紹介を済ませた後、家で生活するにあたってのガイドを受け、自分が寝床とする場所の話に移った。家には丁度寝るスペースがなく(実際にはあるのだが、先のフランス人の女性と一緒になるという理由で)、代わりに、過去にここへ訪れたヒッピーが置き土産として置いて行ったキャンピングバスが寝床となることを伝えられた。

 

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安心のTOTOTA製

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乱雑化していた車内

 

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ベッドスペース

正直この車に案内されたときはワクワクしたし、ベッドも今まで泊まっていたホステルのドミトリーとは異なり広くて独り占めできるし、なんて最高な生活なんだろうと胸がとにかく躍った。

そして食事の話に移ると、ここでは食事は自炊制だという。以前はテレサがWWOOFERに食事を提供していたが、小さい子供2人の育児もあるとのことで現在は中断しているらしい(確か)。その代わり、この家の冷蔵庫にある中身はすべて使っていいということであった。

翌日から始まる仕事に若干緊張感を覚えつつ、その日の食事を済ませ就寝した。確かにその環境に胸は躍ったが、やはり慣れてないと寝れないもので、その日はなかなか寝付けなかったことを記憶している。またある日には、寝ているときにバス周辺を家で飼い放されている牛たちに囲まれ、彼らの「モー」という鳴き声とともに一夜過ごす日もあった。

 

仕事

翌日、朝軽い朝食を済ませ、デイビッドとフランス人女性とともにオーストラリアらしいピックアップのランクルに乗り込み連れてかれたのは、ズッキーニ畑であった。丁度時期的に収穫物が少なく、自分が滞在していた時は主にズッキーニの収穫がメインの仕事であった。朝、夜明けとともに起床して、朝飯を軽く済ませて、一輪車(日本でいうネコ)を運んでズッキーニ畑に行って収穫する。それがこのファームでの朝のルーティンだった。

勿論ズッキーニの収穫以外にも、様々な仕事をさせてくれる機会を得た。どれも基本的にハードなものはなく、楽しみながら仕事ができたことに大変満足であった。久々に畑で働くにあたって丁度良い体慣らしになった。

WWOOF制度で取り決められている労働時間が一日6時間の週30時間以下とかであるから、ここでの生活は夕方まで疲弊しながら労働することはない。大体午前中か、昼すぎぐらいには一日の仕事が終わる。おそらく本格的な収穫期ではないからというのも一つの理由だったはずだ。

それまでオーストラリアに来る前には日本で農業の経験があったのだが、その時の働き方と大分異なることに正直驚きを覚えた。ファームの方針だとか、経営目標とかそういうのによって異なるのだろうが、ここのファームはまるで利益を求めることが一番ではなく、おそらくこの生活そのものを楽しんでいる様にも見えた。だからこそ、自分のようなWWOOFERを雇える余裕もあるのだろう。

 

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ズッキーニ畑

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収穫したズッキーニとスクワッシュ

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広大な畑だが、閑散期なのでほぼ何も無い

 

牛の屠殺

ある日、いつものように仕事を終えて、ダイニングでだらっとしているときにデイビッドが「牛を撃ちにいくぞ、来るか?」とショットガンを持ちながら尋ねてきた。もちろん、そんなビッグイベントを見逃すわけにはいくまい。すぐに行くと返事し、表に出ると近所(といっても結構遠かった記憶が)に住む子犬を連れたおっちゃんとフランス人女性とともにトラックに乗り込み、その現場へ向かうことになった。

先に我々が現場に着き、デイビッドが後からユンボに乗ってやってきた。ユンボを停めて、家から持参してきたパンプキンを地面に「カモーン」という掛け声と同時に放り投げ始めた。すると、牛たちがのろのろと茂みのほうからやってくるではないか。記憶では10頭以上集まっていたと思う。するとデイビッドはパンプキンをショットガンに持ち替え、一頭に狙いをつけて、銃を撃ちはなったのだ。この時銃というものを人生で初めて生で見て、そして銃の音を初めて生で聞いた。その光景は決して忘れることはないだろう。弾丸を撃ち込まれた牛はゆっくりと地面に倒れていった。そして周りの牛たちも危険を察知したのか足早と茂みに戻っていった。

しかしながら一頭だけが、デイビッドに警戒しながらも、その撃たれた牛の近くからなかなか離れることは無かった。家族だったのだろうか、仲良いもの同士であったのだろうか。はたまた恋人(ではなく恋牛)だったのだろうか。そんなことを想っているとやがて、その牛もついにはその場を離れていった。そしてすぐさま近所のおっちゃんが撃たれた牛の近くに駆け寄り、牛の首と急所を切り落とし、それらをユンボで地面に空けた穴に埋めた。印象的であったのは、首にナイフが入れられた時、その牛の目が徐々に力を失っていくというか、瞳孔が開いていったのを見た。正直生きてきて命が無くなるという瞬間に遭遇したのは初めてであったので、大変印象深かった。

残りの胴体をトラックに乗せ、近所のおっちゃん宅へと向かった。近所のおっちゃん宅で、その牛は、ロープのようなもので吊り下げられ、おっちゃんとデイビッドの二人の阿吽の呼吸で捌かれていった。その捌かれた肉は、おっちゃんの家でそのまま冷凍されることとなった。

あっけないといえばあっけないが、これが食肉のリアルであり、やっぱり私たちは肉を食する時には、ただの肉塊ではなくその生命を頂いているのだなということを実感した。

後日、その肉を使ってバーベキューをした。焼き方の問題か、単に質の問題か、それとも牛の屠殺場面が頭によぎったためか、その肉はまったく美味しくなかった。

屠殺の現場に居合わせ、その肉を頂くという一連の場面に、まさかこのオーストラリアという土地で遭遇する機会があるとは思わなかったが、それは自分にとって非常に大きな意味をもつ社会勉強にもなった。 

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トラックから撮影

 

 マーケット出店

またある日、ダーウイン近郊のある場所でマーケットに参加するとのことで便乗して一緒に連れて行ってもらうことにした。

朝早くから車に乗り込み出発し、公園のような広場のような場所で定期的にこのマーケットが開かれる。トンプソンファームもここの常連で、デイヴィッドもテレサも良くお客さんと話で盛り上がっていた。どうやら結構人気の店らしく、時間によっては人がひっきり無しにやってきていた。その前年か過去にスイカを売り出した時には長蛇の列が並び直ぐに完売したというようなことを彼らは話していた。

開店準備やちょっとした店の手伝いをしながら、たまに出歩いて周囲を散歩したり、同じ会場で催されているちょっとしたショーなどを見たり、その非常に平和で心地よい時を過ごしていた。

これもまた現地で学んだファームのリアルであるし、それは日本の農家で働いていた時に経験できなかったので、今後農業で糧を得ようとしていた自分にとっては、とても参考になった。

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出店

 

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マーケットの様子

 

休日

土日だったかどうかは忘れたが、週に二日は必ず休日があった。そういう時は、バスに籠って英語の勉強したり、パソコンにあらかじめ入れておいた映画やドラマなどを見たりしていたことが多かった。またある時には、オージーWWOOFERカップルと彼らの車でLitchfieldにある国立公園に行き、川遊びなどをしたり、家で談笑したり、トランプをしたり。最初のほうで書いたように、ここは最上級の田舎であるので、周りに街のような遊べるようなところはもちろんあるわけではないし、だれもそれを求めてWWOOFをやる人はいないだろうし、当然自分もそれを求めてなかった。だから別に退屈に感じることはなかった。

正直、当時はオーストラリア入国間もない時期で英語もままならないというより、オージー英語についていけないことが多かったので、彼らとコミュニケーションがうまく取れない時もあったことが非常に悔やまれるし、それで彼らに迷惑をかけることもあったであろうが、そんな自分と最後まで温かく触れ合ってくれた家族、WWOOFERたちには非常に感謝している。

 

転機 

そんなこんなで三週間ほど過ぎたあたり、賃労働をしたいという欲求が芽生えてきた。また、オーストラリアに2年在留するためのセカンドビザをとるために88日間仕事をせねばならないので、その日数をできるだけ先に取得しようという思惑もあった。そして、ネットで職探しを始めて、サンダルウッドファームの仕事を得たことをデイヴィッドに伝えると、彼もまた昔にサンダルウッドファームで働いていたらしい。

*1

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バナナの木と夕焼け

 そんな彼と働くときに別れを告げなければならない時が来たのである。最終日は、デイヴィッドにダーウィンまで送ってもらうことになり、最後は、みんなに激励を受け、別れを告げた。

 

ワーキングホリデーという雄大な時間があるときこそ、賃金は発生しないがWWOOFのような少し貴重な体験をするのも悪くないと思う。それによって、労働者‐雇用主という関係性でなく現地の人々と生活、仕事を共することができる。そのような経験は、自分の場合は、1か月という短い期間であったが、今後の生活への自信にもつながっていった。

 

*1:ちなみにデイビッドは若いころはバナナの房を2つ同時に抱えることができたという。後にバナナファームで働くことで知ったが、一つでもとてつもない重量なのに、それを二つ同時にというのは正直考えられなかった。とんでもない怪力。

そしてデイビッドにはもう一つ特殊能力があり、近くに毒蛇がいると察知するというものである。土地柄毒蛇が多い土地であるらしく、そんな土地環境で育ってきたデイビッドだからこそ得た能力なのだ。

近況

ここ一カ月ほど忙しくてなかなかブログを書く時間を設けることができなかった。平日というか休日も仕事で大体疲れ果てて、特に何もせず、ただ風呂に入り飯を食らい洗濯して寝る時間が来る、そんな生活を送っていた。

それでも、レコードは相変わらず買い続けていて、実店舗に行く時間が無いのでもっぱらネットでポチポチしている。最近は久しぶりにdiscogsを利用して海外通販でレコードを購入したりもした。

疲れていたのか、ただの勘違いか持っているレコードを買ってしまうレコードディガーあるあるみたいなこともしてしまった。(結果としてジャケの色違いだったから許容範囲)

で今回は、90's emoを結構買ったりした。やっぱりこの時代のemoが好きで、emoというよりemotive hardcore?がより好み。わかる人にはわかると思うが、ちょっとグルーヴィーでメタリックな感じ。レーベルでいうebullitionとかold gloryとか、その周辺。日本で見ないような7inchとかも海外では格安で買えるから、つい散財してしまう。アートワークとか音とか姿勢とか全てが自分の食指を動かす。まだまだ名前は知ってるけど聞いたことないバンドがあるので、ここら辺はこれからもずっと買い続けていきたい。

 

一方で、オールジャンルで格安盤でジャケ買いや有名盤等も買ったりしている。これも自分のディグの一つの楽しみだ。ジャケ買いに関しては、内容が良ければそれはそれで最高だし、そうでなくてもアートワークを楽しむことができる。それだけでも満足できるから全然無駄使いしたとは思わない。

 

年末年始は各所でセール等が行われるだろうから、それが今からとても楽しみである。たぶん人生で一番レコードに金を注ぎ込む気がする。

 

オーストラリア旅行記も一応は進めている。かなりゆっくりだが。。

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